横尾忠則の世界を紐解く:アート、コロナ禍、死生観、そして病気からの学び(?)横尾忠則:アートと人生をテーマにした展覧会と書籍
85歳、前衛芸術家・横尾忠則。コロナ禍にマスクコラージュ作品を発表、半世紀の軌跡を辿る美術館では「反復」が生む多様性を探求。死生観を込めた作品、病気と向き合い新たな表現を生み出す姿は、まるで「回春の館」のよう。虚弱体質だった幼少期から病気を糧に、直感と閃きを大切にする横尾の生き様は、私たちに人生を豊かにするヒントを与えてくれる。
💡 横尾忠則氏のコロナ禍における作品、マスクをモチーフにした連作「WITH CORONA」を紹介。
💡 横尾忠則現代美術館で開催された展覧会「昭和NIPPON」と「横尾探検隊 LOST IN YOKOO JUNGLE」について解説。
💡 「死後の世界」をテーマにした展覧会「横尾忠則の冥土旅行」と、著書『病気のご利益』を紹介。
さて、本日は、横尾忠則氏の多岐にわたる活動と、その作品に込められたメッセージについて、深く掘り下げていきます。
天才画家の挑戦:コロナ禍とアートの予見
横尾忠則さんのマスク写真は、何を示唆している?
未来を予見していた可能性
横尾忠則氏のコロナ禍における芸術活動は、社会へのメッセージを強く発信しています。
公開日:2020/06/01

✅ 横尾忠則さんは、新型コロナウイルスをテーマにした連作「WITH CORONA」を制作し、ツイッターなどで発表しています。
✅ 作品の中心となるのは、ベロリと舌を出した赤い口の意匠をプリントした「ベロだしマスク」で、横尾さんの絵画や新聞、雑誌、写真などに登場する人物や動物の顔にマスクを貼り付けています。
✅ 横尾さんは、マスク姿の参加者を全員で見た「兵庫県立横尾救急病院展」の開会式での異様さをきっかけに、この連作を制作しました。このマスクパフォーマンスが、コロナ禍で現実の日常風景になっていることに気づいたことで、未来を予言したようなパフォーマンスから啓示を受け、作品を制作していったとのことです。
さらに読む ⇒出典/画像元: https://www.kobe-np.co.jp/news/odekake-plus/news/detail.shtml?url=news/odekake-plus/news/pickup/202006/13387362マスクという普遍的なモチーフを通して、パンデミック下の社会を表現し、未来を予見していたかのような作品に、驚きを隠せません。
横尾忠則さんは、85歳にしてなお旺盛な創作活動を続ける天才画家です。
彼は、自身の身体の変化を受け止めつつも、創作への情熱を燃やし続けています。
コロナ禍においては、自身の作品にマスクをコラージュした「WITHCORONA」シリーズを発表し、社会へのメッセージを発信しています。
50年以上前に撮影された写真の中で、横尾さんはマスクを着けていました。
その写真は、コロナ禍の現代において、アートが未来を予見していた可能性を示唆しています。
えー、マスクって、今や普通のことになってますもんね。横尾先生、すごい。
反復と変奏:横尾忠則現代美術館
横尾忠則現代美術館はどんな魅力を持つ美術館?
反復と変奏の芸術
横尾忠則氏の作品に見られる「反復」と「変奏」は、氏の芸術観を象徴しています。
公開日:2014/03/31

✅ 横尾忠則現代美術館の展覧会「横尾忠則の「昭和NIPPON」―反復・連鎖・転移」は、横尾忠則氏の作品を「昭和」という観点で切り取ったもので、絵画、ポスター、挿絵、インスタレーションなど、様々なジャンルの作品を展示していました。
✅ 特に「木花開邪媛の復活」や「死者の洞窟」など、破壊やいかがわしさを感じさせるエネルギーに満ちた作品群は、ポップさや懐かしさを期待していた筆者にとって衝撃的でした。
✅ 展示は3月30日で終了し、4月12日からは「横尾探検隊 LOST IN YOKOO JUNGLE」が始まります。これは、江戸川乱歩やジュール・ヴェルヌの冒険小説からインスパイアされた横尾作品を紹介する展示で、筆者は今から楽しみにしています。
さらに読む ⇒コアキラボ出典/画像元: https://www.koakisan.com/yokoo-tadanori-shouwa-nippon/破壊的なエネルギーに満ちた作品群からは、強烈なインパクトを受けました。
横尾氏の表現力は、本当にすごいですね。
兵庫県立近代美術館の跡地にオープンした横尾忠則現代美術館は、横尾忠則の半世紀にわたる作品を網羅し、反時代的なアーティストとしての魅力を浮き彫りにしています。
展示されている作品の多くは、反復と変奏によって生み出されたものであり、そこには「進歩」や「成長」ではなく、むしろ「反復」による変異が見られます。
横尾忠則の作品世界は、グラフィック・デザイナーとしての経験とペインターとしての活動の融合によって形成されており、その根底には「反復」と「多様なヴァリエーション」という特徴が見て取れます。
76歳になった今でも自身の過去を反復することで、みずみずしい作品を創作し続ける横尾忠則は、まさに「回春の館」であるこの美術館にふさわしい存在と言えるでしょう。
反復と変奏…まるで漫才のようですな!(笑) でも、奥深さが違うわ!
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横尾忠則の死生観と病気との向き合い方を紐解く。アートと人生が交錯する展覧会や著書で、生と死の循環、病気からの学びを描く。奇想天外なエピソードと深遠なメッセージが詰まった作品群。