写真家・内藤正敏の世界:写真と異界、50年の軌跡とは?写真家・内藤正敏、写真、異界
写真家・内藤正敏。SF的感性で化学反応を写し、早川書房SFシリーズを彩った。東北の民間信仰との出会いを経て、写真と民俗学を融合。恐山のイタコ、修験道の霊山を独自の視点で捉え、生と死、現世と異界を幻視する。暗室技法を駆使した写真は、人間の深層心理を揺さぶる。東京都写真美術館「異界出現」展で、その50年を超える活動を網羅。内藤正敏の世界は、写真を通して異形の美を問いかける。
💡 内藤正敏は、SF的な世界観や東北の信仰をテーマに、写真と民俗学を融合させた独自の表現を探求した写真家。
💡 初期の化学反応を捉えた作品から、東北地方のイタコや修験者を撮影した作品まで、幅広いテーマの写真を紹介。
💡 写真は「呪具」であるという考えのもと、現世と異界の境界線を表現し、見る者に深い印象を与える写真展。
内藤正敏氏の写真展を通して、氏の作品が持つ魅力と、写真表現における独自性を紐解いていきましょう。
SFと化学の融合:内藤正敏の出発点
内藤正敏の写真、何がSF界を魅了した?
グロテスクで異質な、表裏一体の世界観。
写真家・内藤正敏氏の初期作品と、鳥居みゆきさんの鑑賞を通して、SFと化学が融合した内藤氏の出発点を探ります。

✅ 鳥居みゆきが、写真家・内藤正敏の『内藤正敏 異界出現』展を鑑賞し、独特な世界観で展示作品に触れる様子が描かれている。
✅ 内藤正敏は、SF的な世界観や東北の信仰をテーマにした写真家で、本展では初期作品から50年を超える活動の全貌が紹介されている。
✅ 鳥居は、内藤の作品やSF小説の表紙写真などからインスピレーションを受け、自身の表現活動との共通点を見つけ、興味を示している。
さらに読む ⇒CINRA出典/画像元: https://www.cinra.net/article/interview-201806-toriimiyuki鳥居みゆきさんの鑑賞コメントに見られるように、SF的な世界観と初期の化学反応を捉えた写真表現は、非常に刺激的ですね。
写真家・内藤正敏は、1938年東京生まれ。
早稲田大学理工学部で化学を専攻後、フリーの写真家として活動を開始し、1962年には早くもその才能を開花させました。
初期には、化学反応を接写しSF的な世界観を表現するモノクローム作品を制作し、早川書房のSFシリーズの表紙を飾るなど、注目を集めました。
鳥居みゆきもこの斬新な表現に魅了され、内藤の作品が持つグロテスクな魅力と、表裏一体の世界観に強い関心を示しました。
内藤の写真は、SF小説の表紙を飾るなど、早くからSFの世界との繋がりを持っていました。
うーん、写真って難しいけど、なんかちょっとゾクゾクする感じもあって、すごいなって思いました。
異界への眼差し:東北への旅立ち
写真家・内藤の表現を劇的に変えた出会いとは?
出羽湯殿山での即身仏との出会い。
内藤正敏氏の東北地方への旅立ち、民俗学的な視点との出会い、そして、代表作「婆バクハツ!」シリーズについて解説します。
公開日:2025/07/11

✅ 写真家で民俗学者の内藤正敏さんが、7月9日に肺炎のため87歳で死去しました。
✅ 代表作として、恐山のイタコを撮影した「婆(ババ)バクハツ!」シリーズなどがあります。
✅ 葬儀は東京都杉並区の光明院観音ホールで営まれ、喪主は長女の瑞絵さんです。
さらに読む ⇒朝日新聞デジタル:朝日新聞社のニュースサイト出典/画像元: https://www.asahi.com/articles/AST7C34K0T7CUCVL03KM.html内藤氏の死を悼みつつ、その写真家人生における転換点となった東北地方への旅と、民俗学への傾倒に迫ります。
内藤は、25歳の時に出羽湯殿山での即身仏との出会いをきっかけに、写真家としての活動と並行して東北の民間信仰に関する研究を深めました。
この出会いは彼の表現に大きな転換をもたらし、モノクロームの作品で即身仏を撮影するようになります。
その後、東北地方の民間信仰に焦点を当て、恐山のイタコたちを即興的に撮影した代表作「婆バクハツ!」シリーズを生み出し、柳田國男の『遠野物語』をテーマにした「遠野物語」シリーズなどを制作しました。
内藤は、写真を「呪具」として、民俗学を「もう一つのカメラ」として捉え、現世と異界の境界を表現し、写真と民俗学を融合させた独自の表現を確立しました。
あの世とこの世を繋ぐ写真…!まるで漫才のオチみたいに、不思議な世界観やなあ!
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写真家・内藤正敏の回顧展。生と死、異界を幻視した作品群は圧巻。前衛的な技法と民俗学的視点から、人間の精神性や文化を問いかける。