横尾忠則の芸術と死生観:幼少期の戦争体験から、死と向き合う表現、愛する人々への鎮魂歌まで(?)横尾忠則:死をテーマにした作品と、芸術家としての生き様
横尾忠則、死をテーマに挑む!幼少期の戦争体験、養父母の死、そして心筋梗塞…死生観を作品に昇華。寒山拾得展では、斬新な解釈で死を表現。愛猫タマとの絆、ウォーホルとの交流も。死を恐れず、今を生きる横尾忠則の芸術世界。その深淵なる思想と、作品を通して得られる新たな視点を体感せよ。
💡 横尾忠則は、幼少期の戦争体験をきっかけに死を意識し、その恐怖を作品に表現した。空襲の記憶は、彼の死生観に大きな影響を与えた。
💡 近年では、自身の個展で死をテーマにした作品を発表。死を恐れず、むしろ新たな表現への挑戦と捉え、遊び心を持って創作活動に取り組んでいる。
💡 横尾忠則の作品は、家族や愛猫への追悼の意を込めたものも少なくない。大切な人々への愛情と、死に対する思いが込められている。
本日は横尾忠則氏の芸術作品を通して、氏の死生観に迫っていきます。
幼少期の戦争体験から現代に至るまで、氏の作品に込められた思いを紐解いていきましょう。
幼少期と戦争体験
横尾忠則の「死」に対する意識に影響を与えたものは?
戦争体験と養父母の死
横尾忠則氏の幼少期の体験は、その後の作品に色濃く反映されています。
戦争という、人が死ぬのを目の当たりにした体験は、氏の人生観に大きな影響を与えました。

✅ 横尾忠則さんは、戦争を想起させるモチーフを作品に繰り返し登場させており、戦争体験が自身の創作に大きな影響を与えていることを語りました。
✅ 特に、空襲で真っ赤に染まった夜空や、戦闘機に遭遇した際の死を目の当たりにした経験が、作品に反映されていると説明しています。
✅ 横尾さんは、戦争体験が身体に染み込んでいるため、無意識的に作品に表現されてしまうと述べており、思考よりも身体的な恐怖が創作の源泉となっていることを示唆しています。
さらに読む ⇒東京新聞出典/画像元: https://www.tokyo-np.co.jp/article/351059戦争体験が、横尾氏の表現に与えた影響について深く理解できました。
死を意識しながらも、それを創作の糧とする姿勢は、非常に力強いと感じました。
横尾忠則は1936年、兵庫県で生まれ、幼少期は伯父夫婦に育てられた。
自然豊かな中で育ち、養父母の信仰心や戦前・戦中の風景から恐怖と冒険心を抱くようになる。
横尾の作品における重要なテーマのひとつである「死」は、高齢の養父母の死に対する恐怖や戦争体験に起因する。
特に、終戦間際に体験したグラマン戦闘機の襲来は、死を意識させ、社会的な問題とのつながりを認識させた。
一方で、恐怖を感じながらも、サーチライトに神々しさを見出すなど、物事を両面から捉える視点を培った。
横尾は絵を描くことを模写として捉え、幼少期から絵を描くことに没頭していた。
戦後、漫画や小説の影響を受けながら、挿絵画家や漫画家を目指していたが、高校で油絵に出会い、武蔵野美術学校を受験する。
戦争の体験って、想像を絶するものですけど、横尾さんの作品には、そういう怖さとか、悲しみとかが、込められてるのかなって思いました。すごい。
「横尾忠則寒山百得展」:死と向き合う表現
横尾忠則展はどんなテーマで、どんな作品が展示されている?
「死」をテーマにした新作
横尾忠則氏が、死を新たな表現への挑戦と捉えているというのは、とても興味深いですね。
年齢を重ねるごとに、表現方法を変えていくというのは、素晴らしいです。

✅ 87歳の美術家、横尾忠則さんのエッセイ「時々、死んだふり」は、人生の後半をどう生きていくか、という問いに対する横尾さんの考え方を示しています。
✅ 病気や老いによって、これまで出来ていたことができなくなる状況を「新たな画風」と捉え、ハンディキャップを乗り越えて生まれた作品のように、新たな表現に挑戦していくことを提唱しています。
✅ 横尾さんは、社会の流行や好みを意識せず、無心で遊ぶように創作活動に取り組むことの大切さを語り、自身の個展「横尾忠則 寒山百得展」を通じて、自由な発想と表現の重要性を訴えています。
さらに読む ⇒とやま出典/画像元: https://www.fmtoyama.co.jp/blog/tajima/?p=11281横尾忠則氏の「寒山百得展」は、死をテーマにした作品でありながら、遊び心も忘れない表現が印象的ですね。
死を恐れるのではなく、むしろ楽しんでいるかのようです。
2023年12月3日まで上野の東京国立博物館・表慶館で開催されている「横尾忠則寒山百得展」は、中国・唐の時代にいたとされる僧「寒山」と「拾得」をモチーフにした完全新作展です。
102点の作品は、横尾忠則さんが2022年7月に急性心筋梗塞で倒れた経験から「死」をテーマに制作されたもので、寒山にトイレットペーパーを持たせるなど、従来のイメージを覆す大胆な表現が特徴です。
この展示に合わせて発売された2冊のエッセイ、『時々、死んだふり』と『死後を生きる生き方』では、横尾さんが自身の死生観について語っています。
『時々、死んだふり』では、心筋梗塞の経験を詳細に語り、死への恐怖心がないことを明かしています。
横尾さんは輪廻転生を信じ、死を一つの区切りと捉えているため、病気で人生観が変わることもなかったそうです。
また、自身の作品を通して「死んだふり」をしていると自己分析し、遊びの「死んだふり」を通して、死に対する恐怖心よりも親しみを抱いていることを示しています。
『死後を生きる生き方』では、幼少期に経験した神秘体験や、両親の死を通して培われた死生観が語られています。
横尾さんは霊魂や死後の世界を信じ、魂が感知することにフォーカスし、絵を描く行為を通して自らの魂と対峙しているそうです。
展示では、伝統的なイメージにとらわれず、魔法のじゅうたんに乗ったり、ドン・キホーテになったりするなど、遊び心満載の寒山拾得の姿を見ることができます。
横尾さんの独特な死生観と、それを表現した作品を通して、死に対する新しい視点を得られる展覧会です。
死んだふりって、なんか面白いっすね。死をテーマにしつつ、笑いも忘れない横尾さんの姿勢、まさに「生けるレジェンド」って感じやな!
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横尾忠則の死生観に迫る!愛猫タマ、交流のあった人々…貴重な作品を通し、88歳の画家が語る、生と死。ウォーホル作品も必見。