歌舞伎『鏡山旧錦絵』は、なぜ悲劇に満ちているのか?錦絵に描かれた悲恋の物語とは!?
💡 歌舞伎『鏡山旧錦絵』は、源頼朝の息女大姫と侍女尾上の悲恋を描いた作品です。
💡 尾上は、岩藤の策略によって蘭奢待盗難の罪を着せられ、自害に追い込まれます。
💡 お初は、尾上の無念を晴らすため、岩藤に復讐を果たします。
それでは、歌舞伎『鏡山旧錦絵』の世界へとご案内いたします。
悲恋と苦悩:尾上の物語
この悲劇的な物語は、歌舞伎の世界でどのように表現されているのでしょうか?
✅ 嫉妬深い老女の岩藤は、若き中老の尾上に仕える召使いのお初と、尾上への寵愛を巡って対立し、尾上を陥れようと陰謀を企てる。
✅ 尾上は岩藤の策略によって蘭奢待盗難の罪を着せられ、名誉を傷つけられる。その後、尾上は自害し、お初は主人の無念を晴らすべく、岩藤に復讐を果たす。
✅ お初は尾上の仇討ちを果たし、その功績によって中老に抜擢される。この事件は、お家騒動と復讐劇を絡めた、女たちの権力争いを描いた物語である。
さらに読む ⇒出典/画像元: https://enmokudb.kabuki.ne.jp/repertoire/417/尾上の苦悩と、お初の復讐劇は、見ている者を強く引き込みますね。
歌舞伎『鏡山旧錦絵』は、源頼朝の息女大姫の悲恋と、それに巻き込まれる侍女尾上の苦悩を描いた作品です。物語は、大姫が義高の菩提を弔うために出家し、その供として尾上が鎌倉初瀬寺を訪れることから始まります。尾上は、大姫に仕える局岩藤から執拗な嫌がらせを受け、とうとう竹刀で勝負を挑まれます。尾上は武芸に長けておらず苦戦しますが、下女のお初が代わりに立ち上がり、岩藤たちを打ち負かします。その後、尾上は蘭奢待を預かりますが、岩藤の策略によって草履とすり替えられ、その罪を着せられてしまいます。尾上は岩藤からの屈辱に耐えかね、自害を決意。お初は尾上の遺書と草履を故郷へ届けようとしますが、途中で烏の啼き声を聞き、尾上の身に何かが起こったことを予感します。お初は尾上の死を悲しみながら、彼の遺志を継いで生きていくことを決意します。
あー、ほんまに。女の嫉妬は怖いなぁ。
錦絵に刻まれた役者たちの魅力
錦絵は、歌舞伎の世界をより深く理解する手がかりとなるでしょう。
✅ 江戸歌舞伎の年始行事「仕初式」で、市川團十郎家の俳優が巻を読み上げた後に披露していた「にらみ」は、明治18年に復活し、九世團十郎がその舞台で「にらみ」を披露した。
✅ 「千歳座新舞台仕初図」は、この仕初式の様子を描いた錦絵で、九世團十郎の「にらみ」をはじめ、明治時代の歌舞伎界を代表する名優たちの姿が描かれている。
✅ 九世團十郎が復活させた「にらみ」は、十三代目市川團十郎白猿へと受け継がれ、現代まで続いている。これは、九世團十郎の大きな功績の一つと言える。
さらに読む ⇒歌舞伎美人出典/画像元: https://www.kabuki-bito.jp/special/knowledge/yakushae/post-7/4/役者たちの魅力が、錦絵を通して伝わってきますね。
19世紀前半の文化・文政年間は、歌舞伎役者の魅力が錦絵を通じて広く人々に伝わった時代でした。松本幸四郎は、冷酷な悪役「実悪」を得意とし、鋭い目つきと高い鼻が特徴で「鼻高幸四郎」と呼ばれていました。代表的な役には『菅原伝授手習鑑』の松王丸、『伽羅先代萩』の仁木弾正、『時今也桔梗旗揚』の武智光秀、『義経千本桜』のいがみの権太などがあります。坂東三津五郎は、優美で芯のある役柄と、変化舞踊の名手としても知られていました。「和事」を得意とし、時代物の武将役でも評価されました。代表的な役には『伽羅先代萩』の足利頼兼、『一谷嫩軍記』の熊谷次郎直実、『源平布引滝』の斎藤実盛などがあります。岩井半四郎は、悪女役「悪婆」を確立した女方として人気を集めました。容姿端麗で、目には愛嬌と色気が漂い、セリフ術にも優れていました。変化舞踊で一人七役を演じ、その姿は錦絵にも描かれました。代表的な役には『於染久松色読販』のお染、『杜若艶色紫』の土手のお六、『隅田川花御所染』の女清玄、『桜姫東文章』の桜姫などがあります。尾上菊五郎は、粋な色男から女性の役まで、幅広い役柄をこなせる名優でした。容姿端麗で、演出にも工夫を凝らし、早替わりや怪談物を得意としていました。7代目市川團十郎との共演も頻繁に行われ、錦絵にも描かれています。代表的な役には『菅原伝授手習鑑』の桜丸、『仮名手本忠臣蔵』の早野勘平、『義経千本桜』のいがみの権太、『助六』の花川戸助六、『東海道四谷怪談』のお岩などがあります。市川團十郎は、家系に伝わる「荒事」を継承した、力強い演技が魅力の役者でした。豪快な立ち回りや、迫力のある表情は、観客を魅了しました。代表的な役には『仮名手本忠臣蔵』の赤穂浪士、歌舞伎十八番の一つ『勧進帳』の弁慶、『義経千本桜』の狐忠信、『神霊矢口渡』の源義経、『暫』の鎌倉権五郎などがあります。これらの役者たちは、それぞれの持ち味を活かした個性的な演技で、歌舞伎を盛り上げ、錦絵を通じてその人気を不動のものにしました。
当時の役者たちの個性と魅力が、錦絵の中に凝縮されていますね。
国芳の奇想が描き出す歌舞伎舞台の熱気
歌川国芳の描く錦絵は、歌舞伎舞台の熱気をそのままに表現しています。
✅ 「義経千本桜」は、源義経を題材にした作品ではあるものの、義経自身が物語の中心ではなく、むしろ脇役に近い存在で、義経以外の登場人物たちの活躍が物語を牽引しています。
✅ 「義経千本桜」は、歌舞伎だけでなく、人形浄瑠璃でも人気のある作品であり、義太夫狂言と呼ばれる演劇形式で上演されることが多く、太夫による語り口と役者の演技が特徴です。
✅ 「義経千本桜」は、平知盛、いがみの権太、狐忠信など、個性的な登場人物たちが織りなす物語で、源平の合戦という歴史背景を舞台に、それぞれのキャラクターの生き様や人間模様を描いています。
さらに読む ⇒和樂web 美の国ニッポンをもっと知る!出典/画像元: https://intojapanwaraku.com/rock/culture-rock/184671/国芳の奇想天外な表現力は、歌舞伎の世界観を見事に捉えていますね。
歌川国芳は、武者絵や戯画、洋風画など多様な作品で知られる江戸後期の浮世絵師です。その奇想性が光る役者絵の中でも、今回は『義経千本桜』四段目の「狐忠信」を紹介します。この作品は、四世市川小團次の宙乗りシーンを、リアルな仕掛け描写で捉え、従来の役者絵とは異なる視点で舞台の興奮を伝えています。国芳は、画面構成力と奇想性を駆使して、当時の歌舞伎舞台の熱気を生き生きと表現しました。彼の作品は、伝統的な浮世絵様式をベースにしながらも、現代のグラフィックや漫画に通じるような独創的な視覚表現で、今もなお多くの人を魅了しています。
わぁー、すごい迫力!
師との出会い、そして成長:萬壽さんの軌跡
萬壽さんの歌舞伎人生は、師との出会いによって大きく変化しました。
公開日:2024/07/09
✅ 「妹背山婦女庭訓」のお三輪は、田舎娘ながらも振袖を着て裾を引くなど、華やかな雰囲気を持つ役柄である。
✅ お三輪は、他の田舎娘役とは異なり、チャキチャキとした性格で、求女への強い思いを抱き、蘇我入鹿の御殿に迷い込む。
✅ お三輪は、求女を常に追いかけてきたという背景を持ち、御殿にたどり着き、官女たちのいじめにも屈することなく、求女への想いを貫く強い意志を持つ女性として描かれている。
さらに読む ⇒ぴあエンタメ情報出典/画像元: https://lp.p.pia.jp/article/series/220561/371964/index.html歌右衛門との出会いは、萬壽さんにとって大きな転換期だったのでしょう。
中村萬壽さんは、歌舞伎役者として歩む中で、様々な転機を経験してきました。その中でも、六代目中村歌右衛門との出会いは大きな転機の一つでした。萬壽さんは、歌右衛門から厳しくも深い指導を受け、歌舞伎の奥深さを学びました。特に「鏡山旧錦絵」の尾上の役を演じた際、歌右衛門から厳しいダメ出しを受けながらも、真摯に受け止め、精進を重ねたことが、歌右衛門から認められるきっかけとなりました。その後、歌右衛門から「手習子」を踊るよう指名され、受賞パーティーで披露する機会を得ました。歌右衛門は萬壽さんに、伝統的な歌舞伎の奥義を丁寧に教え込み、萬壽さんの芸を大きく成長させたのです。萬壽さんは、歌右衛門との出会いを「第2の転機」と振り返り、その教えを今も大切にしています。
師匠との出会いは、人生を変えるんやな。
運命のいたずら:悲劇と決意
運命のいたずらか、尾上は悲劇的な最期を迎えます。
✅ 尾上は、岩藤に「蘭奢待」の罪を着せられ、無念のうちに自害を図る。
✅ お初は尾上の書置きを届ける途中、岩藤の弟が「蘭奢待」を持って逃げる現場に遭遇し、尾上の無念を知り復讐を決意する。
✅ お初は岩藤を殺害し、庵崎求女によって尾上の忠義と働きが認められ、二代目尾上を名乗ることが許される。
さらに読む ⇒ゲ ジ デ ジ 通 信出典/画像元: https://gejideji.exblog.jp/28223428/お初は、尾上の仇討ちを果たし、新たな道を歩み始めます。
歌舞伎『鏡山旧錦絵』は、源頼朝の息女大姫の悲恋と、それに巻き込まれる侍女尾上の苦悩を描いた作品です。尾上は、大姫に仕える局岩藤から執拗な嫌がらせを受け、とうとう竹刀で勝負を挑まれます。尾上は武芸に長けておらず苦戦しますが、下女のお初が代わりに立ち上がり、岩藤たちを打ち負かします。その後、尾上は蘭奢待を預かりますが、岩藤の策略によって草履とすり替えられ、その罪を着せられてしまいます。尾上は岩藤からの屈辱に耐えかね、自害を決意。お初は尾上の遺書と草履を故郷へ届けようとしますが、途中で烏の啼き声を聞き、尾上の身に何かが起こったことを予感します。お初は尾上の死を悲しみながら、彼の遺志を継いで生きていくことを決意します。
悲劇は、新たな決意を生み出すものなんですね。
歌舞伎『鏡山旧錦絵』は、悲恋と復讐、そして成長を描いた物語です。
💡 歌舞伎『鏡山旧錦絵』は、源頼朝の息女大姫と侍女尾上の悲恋を描いた作品です。
💡 尾上は岩藤の策略によって蘭奢待盗難の罪を着せられ、自害に追い込まれます。
💡 お初は、尾上の無念を晴らすため、岩藤に復讐を果たし、その後、尾上の名跡を継ぎます。